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【難読地名】静岡市「渡=ど」 住民も疑わない読み方が“正当”じゃなかったと判明

難読地名の裏にはストーリーが。今回は静岡市葵区の山あいの集落「渡」です。漢字一文字の地名の読み方は「わたる」でも「わたり」でもなく、正解は「」。なぜそんな名前になったのか調べると、実は読み方が「ど」ではなかったという事実が判明しました。

にむらあつとリポーター

由来が知りたきゃ寺へ行け!

調査するのは静岡市の中心市街地から車で約40分、静岡市葵区の渡です。

表記も読み方も一文字という難読地名です。さっそく由来を調査します。

難読地名シリーズも回を重ねるとわかってきた法則が。それは「難読地名について知りたければ、寺か神社へ行け」。

ということで、まずは約400年の歴史があるという全福寺へ。 ここでさっそく住職から驚きの情報が得られました。

全福寺 住職・轟義敬さん:
渡という地名の由来は、吊り橋。寺の近くにも吊り橋があるんですけども、「渡る」からきています

轟義敬 住職

渡を流れる安倍川。現在でも付近には吊り橋がかかっています。

この地に住む人々は川を行き来しながら生活していることから 「渡る」という漢字が使われたのではないか?とのこと。

ではなぜ「ど」という読みになったのでしょうか。

ちなみにお寺の番地は4。声に出してみると「アオイク ド ヨン」。外国語のような響きでした。

かなり本気のつり橋でした

寺の裏のつり橋に向かってみました。かなり足下が心もとないタイプです。

対岸には家が見えるので、普段から使われてるのかもしれません。

近くにあるガソリンスタンドで聞き込みです。生まれも育ちも「渡」の男性に聞きました。

ENEOS 大河内SS・内藤 修さん:
大河内の生涯学習交流館があるので、もしかしたら資料があるかもしれません

生涯学習交流館に資料があるかもしれないということで、内藤さんが一行が向かう間に問い合わせをしてくれていました。どうやら見つかったようです。

文献で調べたら「ど」じゃない!?

生涯学習交流館に着くと、「大河内村誌」という文献が用意されていました。

大正時代に記されたという旧大河内村の村誌で、この中に「渡」の歴史も記載されているようです。

そこに書かれていた、渡の由来です。

「渡『ワタリ』と読むべし。後に音読し、渡村『ドムラ』と云うに至れり。しかし『ワタリ』と云うのを正当とする」※中略

えぇ!?

ワタリと読むところを、地元の人が音読して「ドムラ」だと言い出したのが始まり。しかし、地名としては「ワタリ」が正しいという内容でした。

「河流を渡りしにより名をなせし」とあるので、川を渡るというところから、この漢字が使われたのは間違いないようです。

荷物や人を安倍川に渡すという意味の「渡(ワタリ)」と呼ばれ、その後音読されて「ド」になった。

住民の方々は、なんの疑いもなく「ド」と読むと言っていたのですが。

意外な変遷があったことが判明しました。

難読地名の裏には歴史あり。本当は「ワタリ」と読むのが正当だったという、山あいの集落の衝撃の事実でした。

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